センター長ごあいさつ
調 憲 (群馬手術手技研修センター長) |
群馬手術手技研修センターは国や群馬県、学長をはじめとした本学、医学系研究科長、病院長など、様々な方々の強力な支援を受け、2019年4月1日に設立されました。この研修センターは本学に生前の御遺志に基づいて献体された御遺体を用いて、医師の教育・研究を推進するための研修施設です。
私自身、肝胆膵を専門とする外科医として研鑽を積んでまいりましたが、もし自分が若いころにこのような施設で研修をすることができたら、もっと早く高度な手術をより安全にできたのではないかという思いがあります。
現在、ドライラボやアニマルラボといった、器具や大動物を用いた手術手技研修がすすんできました。さらにはバーチャルシミュレーションなど、研修法は長足の進歩を遂げていますが、人体を用いた研修でしか学べないことがあると感じております。
よく医師が新たな技術を習得する上でラーニングカーブということが言われますが、そのような考え自体が容認されがたい社会になってきています。とくに昨今の内視鏡下手術の進歩は著しく、このような高難度新規手術の安全な導入には研修センターにおける研修は必須のステップと思います。一方で、内視鏡下手術が全盛になっている現在、開胸や開腹の手術手技経験もさらに若い外科系医師にとって大切な経験になることは間違いありません。このように群馬手術手技研修センターの重要性は益々増していくであろうと考えています。
本研修センターは群馬県のご支援を受けていることから、群馬大学のみの施設ではなく、群馬県下の皆様に広く門戸を開放しておりますので、ぜひともご相談いただければと思います。
運営に際しては、岩﨑広英教授をはじめとした機能形態学講座の皆様や研修センターのプログラムを倫理的にご検討いただいている中村哲也先生をはじめとした委員の先生方など多くの先生方に全面的なご協力を頂いていることに深く感謝を申し上げます。本研修センターにおける研修を通して医療技術の水準を上げ、患者さんへ恩恵をもたらすことが、御遺体を献体いただいた皆様の尊い御遺志を生かすことになると信じております。
どうぞよろしくお願いいたします。
研究科長ごあいさつ
小湊 慶彦 (群馬大学大学院医学系研究科長) |
この度,群馬大学大学院医学系研究科は,御遺体(カダバー,Cadaver)を使用した研修により手術手技の向上に寄与することを目的として,群馬手術手技研修センター(Gunma Surgical Training Center, GSTC)を設置いたしました。
群馬大学医学部附属病院は,2014年6月に腹腔鏡手術等の医療事故が判明,翌年には特定機能病院の名称使用の承認が取り消されました。その後,医療事故調査委員会や病院改革委員会からいただいた提言等を基に,医療事故再発防止に向けた様々な改善・改革を進め,2019年4月には特定機能病院の名称使用が承認されました。特定機能病院には,高度の医療を提供する使命が課せられるとともに,「医療の高度の安全確保」が求められています。そのためにも手術手技の向上は喫緊の課題です。群馬大学医学部附属病院はこれまでも,スキルラボセンター(現 地域医療研究・教育センター スキルラボ部門)において,種々のシミュレータ・機器を提供し,医療技能の向上を図ってまいりましたが,それに加えて,GSTCにおいて外科系医師の手術手技の向上を図ってまいります。
GSTCは群馬大学の研修医・教員のみならず,広く群馬県下の医療従事者の皆様に門戸を開き,その手術手技向上を目指してまいります。それに加えて,新たな手術法の検討や医療機器開発などの研究にも取り組んでまいります。GSTCの活動は,外科系診療科に対しての医学生・研修医の関心を高める効果が期待され,産婦人科を含む外科系医師の増加にもつながるものと信じております。医学・医療の発展のために御献体くださいました皆様の尊い御意思を最大限に生かすように努めてまいりますので,皆様のご支援及び積極的なご活用をお願い申し上げます。